南大通の住宅 室内温度の推移

南大通の住宅では、建物内外で室温・外気温の計測を続けてきました。最も寒い時期も終わりましたので、これまでの結果をご案内したいと思います。

測定点は居間食堂とピット、屋外駐車場の3か所

ご紹介するのは三か所ある計測点において、2019年7月から2020年2月まで、月ごとの温度推移をグラフにしたものです。「Living」は2階の居間食堂、「Pit」は1階玄関ホールの床下、メンテナンスピット内で、この二か所は室温を示しています。「Parking」は1階ピロティの駐車場で、外気温の測定結果を示しています。

「Living」は冷暖房設備に加えて、南西側の大きな窓から日射取得を得ていますので、その状況が室温の推移にも影響しています。

一方、「Pit」には冷暖房設備や日射取得はありません。あえていえば、基礎外周まわりが輻射暖房の配管ルートになっていますので、その影響は多少あるかと思います。ただ、基本的には外周部を断熱材で覆われたコンクリートの空間といってよいかと思います。

Pit内。外周まわりの壁床取り合い部分の白い配管が 輻射暖房の配管。写真にある除湿器は、竣工後しばらくの間発生するコンクリートの養生水分を取り除くためのものです。これを怠ると特に湿気の多い季節はPit内の湿度が上がり、結露水やカビが発生する原因になることがあります。

NetatmoとSmartMixinでデータを表示。気温の推移を直感的に把握

測定機材はNetatmoで、SmartMixinというアプリでデータを表示しています。青い線が1日の平均気温の推移を表し、赤い帯が最高気温と最低気温の範囲を表しています。

例えば、下の2019年7月のグラフを見てみます。7月1日は最高気温、最低気温の順で、それぞれLiving:25℃、24℃。Pit:25.5℃、23.5℃。Parking:24℃、19℃と、だいたいの値ですが、読み取ることができます。縦軸の温度表記の範囲やピッチがそれぞれ異なっているところがわかりにくくて申し訳ないのですが、大まかな気温の推移を把握するには事足りるかと思います。

7月の結果を月間で、もう少し見てみます。Livingは24℃から29℃の間で推移しており、月末の二三日を除けば、高くても27℃におさまっています。また、Pitは23℃から26℃の間で推移しています。

一方、この月の外気温はParkingで読み取ることができますが、だいたい18℃から32℃の間でしょうか、14℃程度の変化が読み取れます。外気温の変化に比べて、室内はまず穏やかといってよい範囲で気温が推移しているのがお分かりいただけるかと思います。

夏の推移グラフ

2019年7月:Living:29℃~24℃、Pit:26℃~23℃、Parking:32℃~18℃

8月:Living:28℃~24.5℃、Pit:26.5℃~24.5℃、Parking:35℃~22℃

秋の推移グラフ

9月:Living:29℃~22℃、Pit:26℃~23.5℃、Parking:32℃~14℃

10月:Living:28.5℃~21.5℃、Pit:25.5℃~22℃、Parking:27℃~8℃

11月:Living:27℃~22℃、Pit:23℃~20℃、Parking:18℃~0℃

冬の推移グラフ

12月: Living:26.5℃~21.5℃、Pit:20.5℃~18.5℃、Parking:10℃~-2℃

2020年1月: Living:27.5℃~21℃、Pit:19.5℃~18.5℃、Parking:8℃~-3℃

2月: Living:27.5℃~21.5℃、Pit:19.5℃~18.5℃、Parking:12℃~-5℃

まとめ

Livingは夏で28℃から24℃の間に、秋冬で26℃から22℃の間に、それぞれ 概ねおさまっています。Pitは同様に、夏から秋にかけて26℃から22℃の間におさまっていますが、11月から徐々に下がり始め、冬は20℃から18℃の間の狭い範囲で推移していました。

この住宅の室温は外気温や日照のほかに、断熱気密の外皮性能、熱交換式の換気設備、輻射式冷暖房、日射取得といった因子から影響を受けて推移しています。竣工後初めての夏冬を過ごしたことになりますが、室温は概ね28℃から22℃の間を、外気温と日射取得の変化によってなだらかに推移するというイメージでした。

また、高齢者を意識した住宅でもありますので、設備機器はシンプルにまとめ、わかりやすく単純な操作で稼動させています。例えば、冬は季節が訪れる前、気温が下がり始めたら早めに暖房のスイッチを入れ、後は春がくるまでずっと低温で温水を回し続けるという方法です。途中、水温の微調整は行いますが、今シーズンは送水温度30℃を基本としつつ、外気温によって時折り±2℃の調整をする程度でした。そして、その際の屋外機出力は概ね10〜20%で、しばしば0%、まれに40%ということもありました。

ところでピットですが、冷暖房なし日射取得なしという環境にも関わらず、真冬でも18℃を下回らず、冬季間は1〜2℃の室温変化でした。暖房配管のわずかな発熱とコンクリートの蓄熱、基礎断熱の性能によってこのような室温変化になったのではないかと考えています。

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