人口減少時代に街なか居住を考えてみる
「南大通の住宅」は、高齢者の街なか居住を意識した戸建て住宅です。 面積28坪、高低差1.4Mほどの街なかの敷地に、今後年齢を重ねていく住まい手のためにはどのような住宅が良いか考えてみました。今後、何回かに分けて 「南大通の住宅」 において、意図したことや工夫したことなどをご紹介していきたいと思います。

初めは設計にあたって考慮した、大まかな概念についてです。
今日の少子高齢化と人口減少による税収の減少は、都市のインフラ整備にも影響を及ぼし、コンパクトシティという政策が謳われています。また、大都市のような充実した公共交通機関が整っていない地方の都市では、移動手段を自家用車に頼ることはごくごく普通のことです。
このような状況においては、住まいを利便性の高い街なかに求めるのも一つの考え方といえましょう。その際、集合住宅という選択肢が一般的かもしれませんが、年月を重ねると人間と同じようにハード面・ソフト面で様々な懸念が生じます。対して、敷地の規模や形状はそれなりでしょうが、戸建住宅の場合ではどのようなものになるかこの住宅で考えてみました。
まず、立地は将来車を手放しても歩いて用を足せる点で安心ですし、趣味や地域交流、イベントなど、様々なコミュニティに接することができます。駐車場はいずれは来客用として機能するでしょう。夫婦で住むなら間取りはワンルーム形式で十分ですが、長く住むことを考えると、加齢に伴う身体能力の衰えにもある程度備えておくべきでしょう。健康面では、ヒートショック対策が必要なことはもちろんですが、消費エネルギーの低減と共に、年間を通して居心地のいい快適な温熱環境を提供することは、住まい手のためにとても大切なことです。今回の計画地の一つの特徴である敷地の高低差は収納スペースとメンテナンスに役立たせ、メンテナンスは将来を考えて、負担にならないような配慮をしておきたいところです。

コメント